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恩師に感謝状 生前葬と「人生のクラス会」 文例/例文

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恩師に感謝状 生前葬と「人生のクラス会」 


 

 中学時代の担任は、まあ太めの女先生で、珍しい名前で「太い」という文字が入っていたから、名前の字を太めに書いて嫌がらせをしたり、体重計に乗ると針が一回りと揶揄した。中3の男の子にでも、真面目に働かない子、決まりをまもらない子には、先生、怒って全身体当たりでぶつかっていた。

 9月になると95歳という先生。わんぱく時代、さんざん手こずらせたご迷惑に対して、お世話になった「感謝状」を贈ろうと考えて、田舎のクラス友にインターネットをつかって提案した。「先生に出会えてよかった」「二年五組と三年五組でよかった」と、先生が元気なうちに感謝の気持ちを伝えておきたい。

 突然葬式の通知を受けても、私のすることは何もない。先生は、95歳になるまで生涯独身だから、今は姪ゴさんに面倒をみてもらっている。数年前まで杖をついて歩いていたが、今は車いすで移動する。最近はお目にかかっていないから、様子はわからないが、あかちゃんのハイハイになっているらしい。頭は正常に働き、人の話はよくわかる。会話も普通にできる、と聞いている。
今のうちに先生に感謝状か、謝恩をして、受けた恩の何分の1でも返しておきたい。それが今思う私の気持ちだ。

 先生を困らせたことは、数限りない。反抗期の真っ盛り、一番前に座っていて、先生のやることなすことに反抗して、文句を言い続けていた。よほど反抗しやすかったんだね。ついに先生は、堪忍袋の緒が切れたのだろう。教壇からおりてきて、私はひっぱたかれた。今だったらありえないかもしれないが、先生が、ひっぱたくのは当然だと思った。あんなに先生のやることに邪魔したのだから、仕方ないよね。

 先生のロッカーから、ぞうきん提出をズルしたり、検便出すのは面倒だから、ひそかに先生の閻魔帳にチェックして、ゴマ化したり、多分、先生に甘えていたのだろうね。先生は親も同然に頼っていた。

 一生懸命やってくれたのだから、国の表彰なんてくれなくても、それを知っているのは私たちだからサ、そのご恩を表彰とはおこがましいが、感謝状を贈ろう。地位を表彰するのではない。恩の高さ…、帰省するごとに先生に会った。自宅にも、勤務地の小学校にも、出かけた。妻や子にも会ってもらった。

 「先生に出会えてよかった」「二年五組と三年五組でよかった」謝恩の提案、それに対して反応が田舎の友からきた。「提案した私が抜けたら話にならないから、下相談を食事をしながら話し合いをしたいから出てこい」というわけだ。新宿駅から中央高速バスで行く予定である。友人宅が諏訪の近くにあるから、前日そこまで行く。

 誰にも言っていないが、「生前葬」だと暗黙の意識している。それをみなが受け入れてくれたら、言うが、それは伏しておくつもりだ。まあ。意識する、しないにも関わらず、先生が逝去したら、我々も、「人生のクラス会」も閉幕か。まだ早いかもしれないが。

 

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