県会議員を悼む
■県会議員を悼む
つつしんで故○○△△氏のご霊前に申し上げます。
生あるものは必ず滅するとは申せ、このたびのご逝去は、ただ今も××県知事のお言葉にもございましたように、巨星地に墜ちると申しましょうか、柱を失うと言いましょうか、私どもの心に生じたこの空虚感をどうにも表現することはできないのであります。
わが県会にとりましては、申すまでもなく、全県下の県民も、今は深い悲しみに沈んでおります。私が、○○議員と接する機会に恵まれましたのは、終戦直後のことでした。ちょうど、私は東京で戦災にあい、ここ郷里へ疎開にもどってまいったのですが、物資窮乏の折から、○○氏が八方手をつくされて、住居から衣類にいたるまで、一方ならぬお世話になりましたのです。
そのとき、一見勇猛果敢な、正義感に満ちあふれていらっしゃる○○氏が、じつは大変思いやりの深い、実に細やかな、ゆきとどいた神経をもかねそなえておいでであることを感じました。以来一〇余年公私ともに終始変わることなきよき先輩として、ご指導いただいてまいりました。○○氏の数多い功績のなかでも、県立図書館の設置、農業改善、経営改善の普及事業の強化などは、県民の忘れることのできない立派な氏の遺産です。
特に、図書館設置におきましては、氏の蔵書や収集絵画を全部寄贈してくださったのです。それは、常々おっしゃっていた氏のお言葉、「わが使命は、われを生み、われを育ててくれた郷土に、理想郷を建設する」という、あふれるばかりの氏の郷土愛のたまものだと思われるのです。氏は、永遠の青年のごとく、自由を熱愛した人でした。一見政治家らしくない、あのひょうひょうとしたやせた体の奥に、鋼鉄のような強い闘志と情熱がみなぎり、ときには頑固に自説をまげず、じゅんじゅんと説き伏せられることもありました。篤実温厚というよりは、荒けずりの野人のように、激しくスピーディにプランを立てることもありました。それでいて、一見粗雑にみえるプランが、現実に直面するとき、その緻密さにおどろくほどだったのです。氏ほど、ロマンティストで、リアリストだった人もありません。生前、氏にどなられたり、せきたてられて憤慨した事々も、本日ここにご列席の方々のお心に、きざまれていることと存じます。そして、氏のご長逝を心から悲しんでいるに相違ありません。しかし、今は、惜別の悲しみにただうちしおれるのみでなく、氏から受けた真実の、力ある生き方を、将来に結実してゆきたいと念じております。○○氏に恩顧を受け、変わらぬ親交をいただきました私ども一同を代表しまして、ここにつつしんで哀悼の意を表するとともに、安らかにご昇天あらんことをお祈り申し上げ、お別れの言葉といたします。
県会議員を悼む文例/例文
■殉職警察官を悼む元警視総監 田中栄一本日、ここに故警視庁巡査部長○○△△君の慰霊祭を執り行なわれるに当たり...
- 前の文例:仲間の会の会員を悼む
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